勤務間インターバル制度について

Q 長時間労働を防ぐための工夫として、「勤務間インターバル制度」があると聞きました。それが具体的にどういうものか教えてください。(ソフトウエア開発会社)

<回答者>社会保険労務士 西巻充史

A 政府は「働き方改革」の中で「勤務間インターバル」制度を推進しています。

 勤務間インターバルとは、勤務時間終了後、翌日の始業時刻までの間に一定の休息時間を確保する制度です。具体的に言うと、前日の終業から翌日の始業まで連続して11時間の休息時間を設けることを義務とするものです。例えば、夜10時まで残業した場合、翌日の午前9時以降が始業時刻となります。仮に午前8時が始業時刻だったとしても、午前9時までは出社が免除、賃金の減額のされない制度であり、EU加盟国ではすでに制度化されています。

健康被害から社員を守る

 労働基準法は労働時間に上限を設定・規制し、時間外労働をする場合に労使間の合意に基づき、「36協定」の提出を義務付けています。しかし特別条項を設定することにより、労働時間の上限が解除可能となることから、時間外労働の規制が現実的には機能せず、長時間労働の温床となっているとの指摘がありました。

 長時間労働に起因する労働者への深刻な問題は、心身の健康と安全の確保が難しくなることです。いわゆるブラック企業への是正勧告や過労死があとを絶たず、大きな社会問題となっているなかで、厚生労働省は「過労死ライン」といわれる「時間外労働時間数」と「脳・心臓疾患」発症の因果関係を示しており、時間外労働時間が1カ月あたりおおむね80時間超であれば、業務との関連性が強いと判断されます。そこで勤務間インターバル制度を導入することにより、連続した休息時間と睡眠時間が確保できます。「深夜残業明けの翌日早朝出勤」といった常態が避けられ、過重労働による健康被害を防止する一定の効果があるでしょう。

 また、ワーク・ライフ・バランスの観点からも、仕事以外に自由な時間を費やすことができるようになり、育児・介護による離職に歯止めをかけ、社会全体の労働力不足の改善につながります。

 さらに、勤務間インターバル制度を導入するのとしないのとでは、今後の企業イメージ、採用活動、優秀な人材確保にも影響します。ブラック企業として烙印(らくいん)を押され、社会全体から敬遠されないように、自主的に取り組み始めた大手企業も見受けられます。

助成金支給の対象に

 こうした状況を踏まえて、厚生労働省は、勤務間インターバル制度を導入する中小企業に対して助成金支給する施策を打ち出しています。これまで有給休暇取得促進や長時間労働削減に積極的に取り組むことで、成果を上げた中小企業に支給する「職場意識改善助成金」に勤務間インターバル制度導入コースを新設しました。これは、勤務間インターバル制度導入の際に支出した経費(就業規則変更、労働時間管理機器設置、専門家とのコンサルティング経費等)のうち、適用範囲、休息時間数によって、最大50万円を上限として助成費用の4分の3が受給できるものです。なお、この助成金を受けるには平成29年12月15日までに申請をする必要があります。ぜひ検討してみてはどうでしょうか。

(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。 

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