Q 消費税の免税制度が変わり、当店も免税店になれるのではと期待しています。申請方法など詳細について教えてください。(化粧品店経営)
<回答者>一般社団法人ジャパン
ショッピングツーリズム協会
専務理事 新津研一
A 外国人旅行者向け消費税免税制度の改正は、政府が目標とする「観光立国の実現」のため、ショッピングの魅力を活用した訪日外国人旅行者誘致策の一環として実施されます。
消費税免税制度とは、訪日外国人旅行者を代表とする非居住者が、日本の国内で購入した商品を「消費せずに」海外へ持ち出す場合に、消費税が免除される制度です。世界中の多くの国で、同様の免税制度が実施されています。免税ショッピングを提供するためには、所轄する税務署から「免税店」の許可を受ける必要がありますが、日本にはまだ6000店弱の免税店しか存在しておらず、小売店100万店中わずか0.6%に過ぎません。
一方で、年間約4600億円(2013年実績)の外国人によるショッピング売り上げのうち、1000~1500億円が免税売り上げだと推測されています(ジャパンショッピングツーリズム協会予測)。つまりわずか0.6%の免税店が、25%程度の売り上げを獲得している状況です。
10月1日に施行される今回の外国人旅行者向け消費税免税制度の改正では、これまで免税対象外だった消耗品(食料品、飲料品、医薬品、化粧品など)を含めたすべての物品が新たに免税販売対象となります。外国人旅行者の増加や、外国人旅行者による買い上げ額増加が予想されていますが、特に食品や地酒などは、外国人旅行者に人気の土産品であるだけではなく、地域の地場産業である場合が多いため、地域活性化への期待も高まっています。
ただし、消耗品類は国内で消費されないよう、開封した場合に開封したことが分かる特殊なシールで封印しなければなりません。最低額・最高額の基準などもあり、運用には注意が必要です。
対象品目が拡大されたことで、これまでは免税店になりえなかった菓子店、酒屋、ドラッグストア、土産店などが新たに免税店になる動きが活発化してきています。免税店になるためには税理士など専門家を通じて申請することをお勧めしますが、許可申請手続きも取り扱いが弾力化されています。
例えば、従来は「対応する販売員の語学力」を細かく明記して申請することが必要でしたが、今後は「指さし多言語会話集」などのツールを備え付け、それを使った対応でも構わないという判断となりました。より一層多くの小売店が免税店許可申請を提出することでしょう。
さらに免税手続き時の書類フォーマットも弾力化されるため、販売員の手続きも今より楽になる予定です。
またこの制度改正に合わせて、免税店を表すシンボルマークも設定されました。今後観光庁は、このシンボルマークを用いて、国内・海外での周知徹底、PR活動を進めていく予定です。免税店許可が取得できたら、ぜひ、このシンボルマークを店頭に掲示し、免税店であることをアピールすることをお勧めします。
提供:株式会社TKC(2014年7月)
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。