Q 高齢者を雇用するに当たり、職場環境を見直そうと思っています。そうした取り組みを支援するエイジフレンドリー補助金という制度があると聞きました。詳細を教えてください。(印刷業)
<回答者>社会保険労務士 西巻充史
A 少子高齢化が進むなか、働き手としての高齢者の存在は、ますます大きくなりつつあります。とはいえ、60歳定年制、65歳まで希望者全員継続雇用、70歳までの雇用確保努力義務を原則とする従来型企業は、この労働力不足・採用難の時代においても、企業内における高齢者従業員の位置づけが確立されていないところが大半です。そうした企業で、いきなり高齢者を雇用しても、その人の能力を十全に発揮してもらうことができず、下手をすると労災事故にもつながります。実際、身体機能が低下する高齢者の労働人口が増えるにつれ、労働災害の数も増加傾向にあります。
エイジフレンドリー補助金はそうしたミスマッチを防ぐために、高齢者が安心して働き続ける職場環境を整備するために活用できる制度です。対象事業者の要件は次の3点です。
①60歳以上の「高年齢労働者」を「常時」1名以上雇用している。
(対策を実施する業務に高年齢労働者が就業していることも要件)
②労働保険に加入している。
③中小企業事業者である。
これらの要件を満たした事業者が、以下の対策を実施した際に発生した費用が補助金の支給対象になります。
高齢者に長く働き続けてもらうためには、安心して勤務できる環境を整えることが重要です。働き手の安全を守ると同時に、安定した労働力を確保するためにも、エイジフレンドリー補助金の活用をお勧めします。
提供:株式会社TKC(2022年9月)
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。