Q 「RESAS」というサービスがはじまったそうですが、詳細について教えてください。また当社のような民間企業でも使えるのか、利用方法などについて教えてください。(製造業)
<回答者>内閣官房
まち・ひと・しごと創生本部事務局
ビッグデータチーム
A RESAS(リーサス=地域経済分析システム)は、地方自治体のさまざまな取り組みを情報面から支援するために、平成27年4月から、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局がウェブ上で提供しているシステムです。全都道府県・全市区町村について、産業、観光、人口等に関するさまざまなデータを集約し、地図やグラフでわかりやすく「見える化」したものです。
RESASは、これまでありがちだった「経験」と「勘」と「思い込み」(KKO)に基づく政策立案から脱却し、「データに基づく政策立案」への道を開くべく、提供を開始したものです。また、具体的な数値目標を設定することで、政策の達成度合いを測定し、改善すべきことは改善していくといった、いわゆる「PDCAサイクル」の定着につなげることも目指しています。
もともと地方自治体向けに提供を開始しましたが、ウェブ上で誰でも閲覧できることから、地方自治体以外にも金融機関や教育機関等で活用の動きが広がってきています。
RESASの機能の一例を紹介しましょう。「特許分布図」というメニューがあります。これは、地域のどこに特許が存在しているかを、特許を有する企業や大学等の実際の場所を地図上にプロットすることで「見える化」したものです。特許の場所だけではなく、個々の企業や大学等が有するすべての特許の分野についても把握することができます。
特許分布図を用いれば、例えば、自社の技術との連携を検討できる技術を有している企業や大学が近くにないか、探すことができます。自社が必要としていた技術が、意外に近いところ、もしかすると同じ自治体の中に存在していたなどということもあるかもしれません。
もうひとつご紹介しましょう。図(『戦略経営者』2016年11月号P43図参照)は、兵庫県朝来市内のどこにたくさん人が訪れているかを、地図上のメッシュ(網目)の色で示したものです(朝来市の観光地「竹田城跡」周辺の「メッシュ分析」)。メッシュ分析においては、地図上で示すだけでなく、自分で見たい範囲を地図上でドラッグして選択することで、その範囲について、何月に、また、何時にたくさん人が訪れているかを折れ線グラフで確認することができます。
メッシュ分析を用いれば、例えば、地域内のどこに出店すれば多くの集客を見込めるか検討することができます。
RESASは、今後も官民問わずさまざまなデータを追加し、また、既に搭載しているデータについても、最新のデータに更新していきます。また、RESASの活用の幅を広げていくために、ユーザー目線から使い勝手のよいインターフェースへと改善を図るほか、RESASのデータを、地方自治体や企業が独自に有しているデータと掛け合わせ、単体のデータではできなかった分析も行える仕組みを構築していく予定です。
提供:株式会社TKC(2016年11月)
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。