暑い夏を乗り切る効果的な節電方法

Q 今年の夏も暑くなりそうですが、昨年以上にオフィスの電気代をカットして光熱費を削減し、コロナ禍による売り上げの減少を補いたいと考えています。効果的な節電方法を教えてください。(卸売業)

<回答者>本誌編集室

A 資源エネルギー庁の推計によると、オフィスの電気代の内訳は空調が48%と約半分を占め、照明が24%、OA機器が16%と続きます。全体の90%近くを占める、この3アイテムに集中して対策を施してください。

 最大のターゲットはエアコンです。まずは設定温度。比較的有名な話ですが、設定温度を1度下げるだけで10%程度電気代が下がる可能性があります。とはいえ、夏場の暑い時期に、設定温度を上げることに抵抗のある方もおられるはず。そんなときは周りを見渡してください。あなたが暑いと感じているとき、少し離れた席の人が「寒い」と感じているかもしれません。オフィスビルの空調は、天井などの排出口から冷風が出ていますが、場所によって温度がまだら模様になっている場合があります。排出口の真下は寒くなり、そうでない場所は熱くなるといった具合です。周囲に気を使って我慢している人もあるでしょう。なので、いろいろなところに移動してみて確認してください。温度差が確認出来たら、扇風機やサーキュレーターを使用して空気をかき混ぜることです。そうすると、実際に「暑い」と感じる場所の温度が下がり、「寒い」と感じる場所の温度は上がります。オフィス内に風が舞うので、体感温度も下がります。

 もちろん、卓上扇風機を利用やカーテンやブラインドによる遮断、クールビズの徹底も有効な対策です。それから、室外機にも留意してください。室外機の前にものを置かずに風通しを良くすること。さらに、室外機に打ち水をすると冷房効率が良くなります。最近では室外機用散水機も販売されており、これを使用すると、冷房効率が10%以上良くなるという試算もあります。

 次に照明です。

 初期費用はかかりますが、照明をすべてLED電球にするのが、長い目で見ればもっとも有効な対策でしょう。LEDは蛍光灯にくらべて50%超の節電効果があると言われています。それから照明の「間引き」も効果的です。オフィスによっては光量が大きすぎるところも散見されます。一度、光度計を使用して明るさをはかってみてもよいかもしれません。

 基本は、使ってない部屋はこまめに消すこと。昼休みに完全消灯するという対策もありでしょう。

 最後のOA機器。

 まずパソコンですが、デスクトップ型から、消費電力が少なくて済むノート型パソコンに切り替えるのが手っ取り早いと思います。一概にはいえませんが、これによって電気代が約半分になることもあるようです。また、機能的な面から言うと、スリープモードをうまく使えば節電効果が期待できますし、画面の明るさを落とすという手もあります。コピー機や複合機などは、こまめに電源を切ることは難しいので、省エネタイプのものへと切り替えるしかないかもしれません。

 さて、読者は、既述の節電方法について「当たり前じゃないか」という印象を持たれたかもしれません。しかし、当たり前のことができていない会社が多いのも事実。もう一度、節電への全社的な意識づけを行ってみてください。

 なお、工場や大規模オフィスなどの「高圧受電者」には「デマンドコントロール」による節電方法が有効です。電力会社などに問い合わせてみてください。

提供:株式会社TKC(2021年7月)

(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。 

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