新しいNISAの内容と活用のポイント

Q 経済の先行きが不透明ななか、資産運用の見直しを考えています。2024年の制度改正で大きく変わるNISAに注目していますが、活用のポイントについて教えてください。(製造業)

<回答者>株式会社Money&You 代表取締役 頼藤太希

A 新NISAの大きく変わる点は6つあります(新旧比較表色太字で表示 『戦略経営者』2023年12月号P40)。

 ① NISAの恒久化
 ② 非課税期間が無制限
 ③ 年間の非課税投資額枠の拡大
 ④ つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる(年間360万円投資可能)
 ⑤ 1人あたり生涯投資枠1,800万円が設定
 ⑥ 売却枠の再利用が可能(売却した翌年に非課税枠が復活)

 以上を踏まえて、NISA活用見直しのポイントとしては「投資金額を増やす」「両枠の併用」が挙げられます。

 長期・積立・分散投資で堅実にお金を増やすために、非課税期間の長い「つみたてNISA」を活用している方は多いことでしょう。ただ、年間投資上限が40万円であるため、月5万円や10万円を積み立てられる余裕があったとしても、毎月3万3,333円までしか積み立てられないという欠点がありました。家計に余裕があるならば、新NISAにおいて積立金額を月5万円や10万円などと増やすことを検討しましょう。

 毎月10万円を10年間投資すると、元本合計は1,200万円です。利回り5%で運用できた場合の資産額は1,553万円(+353万円)となります。同条件で月5万円の場合、元本600万円に対して資産額は776万円(+176万円)ですので、複利効果(運用益が次の運用益を生み出す)をより味方につけたいなら、投資金額は増やした方が良いです。

 つみたて投資枠だけで生涯投資枠を使い切ることはできますが、投資できる商品は国が定めた基準を満たす投資信託・ETFと、約260本の中から選ばなければなりません。それ以外の投資信託やETF、個別株に投資をしたいなら、成長投資枠を活用しましょう。成長投資枠では、キャピタルゲイン(売却益)を狙うのも良いですが、高配当株に投資してインカムゲイン(配当収入)を狙う戦略も一つの手です。

 「資産を増やす」目線では、配当や分配金を受け取らずに、複利運用するのが有利です。ただ、例えば定年後に年金の上乗せとして配当が欲しい場合は、早い段階から一部の資金を高配当株に振り向けておくのも有効です。65歳時点で資産を高配当株に切り替える方法だと、新NISAで投資できる金額は1,800万円までです。配当利回りが4%なら、毎年受け取れる金額は72万円。

 高配当で株価上昇も期待できる銘柄に投資していた場合で、65歳までに新NISAで買った高配当株が1,800万円から3,000万円に値上がりしたとします。配当利回りが4%ならば、毎年120万円の配当を受け取れます。新NISAの非課税ルールは「元本1,800万円までの投資で得られた運用益はすべて非課税」なので、どんなに増えても配当はずっと非課税。高配当株であっても利益の一部は成長投資に使われるので、株価が上がることも十分に考えられます。

提供:株式会社TKC(2023年12月)

(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。 

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