「スポーツエールカンパニー」認証の概要

Q 健康増進策の一環として、社内ジムの設置を検討しています。スポーツ活動を支援している企業を対象とした公的認証があれば詳細を教えてください。(食品製造業)

<回答者>社会保険労務士 原田政昇

A スポーツをする目的は、健康維持や増進、運動不足の解消、ストレス発散など多岐にわたる一方、スポーツを阻害する要因も仕事や家事の忙しさ、年齢や体力による問題など、さまざまです。2022年12月に実施された「スポーツの実施状況等に関する世論調査」および「障害児・者のスポーツライフに関する調査」(いずれもスポーツ庁)によると、20歳以上の週1回以上のスポーツ実施率は52.3%(障害者は30.9%)で、21年度の56.4%(障害者は31.0%)を下回りました。特に20~50代の働き盛り世代において低い傾向となっています。

 こうしたなかスポーツ庁は、ひとりでも多くの人がスポーツを楽しみ、スポーツをすることが生活習慣の一部となる社会を目指し、「Sport in Lifeプロジェクト」に取り組んでいます。具体的には、Sport in Life(生活の中にスポーツを)の理念に賛同する民間企業や地方公共団体などと連携、協働して「Sport in Lifeコンソーシアム」を形成し、国民へのスポーツ機会の提供を推進しています。

 スポーツ庁は、従業員の健康増進のためにスポーツ活動の支援や、促進に向けた積極的な取り組みを実施している企業を、「スポーツエールカンパニー」として認証しています。認定対象となるのは、国内に本社または事業所があり、同コンソーシアムへ加盟し、次の①から⑥すべての基準を満たした取り組みを実施している企業です。

 ①特定の従業員にとどまらず、企業、事業所等全体で推進している取り組みであること
 ②経営者の理解を得て、企業、事業所等内部の取り組みが明確化されていること
 ③取り組みが企業、事業所等内部において周知されており、取り組み実績があること
 ④実施内容、導入手順、運用方法等の公表が可能であること
 ⑤労働関係法令等が順守されていること
 ⑥代表者、役員、使用人その他の従業員もしくは構成員に暴力団等に該当する者がいないこと

 「スポーツエールカンパニー2023」では、910社が認定され、追加認定も行われています。認定を受けた取り組みとしては、スタンディングミーティングやスタンディングワークの実施、ラジオ体操やヨガ、ウオーキングイベントの開催、スニーカー通勤や自転車通勤などがあります。

 認定企業には、認定証と認定マークが交付され、スポーツ庁のHPで社名が公表されます。また、ハローワークインターネットサービスの求人票や、求人情報画面に表示されるPRロゴマークの種類にも、スポーツエールカンパニーが追加されています。そのため、社員の健康管理に積極的な企業である点をアピールでき、社会的評価の向上も期待できます。

 「スポーツエールカンパニー2024」の募集期間は、9月以降に予定されています。前年度の申請締切日(22年10月31日)から今年度の申請締切日(現時点では未定)までの取り組みが認定対象となるため、応募を検討している場合は、募集期間までに取り組みの詳細を公表できるように準備しておきましょう。詳細はスポーツ庁のホームページ(スポーツ庁ホームページ)をご確認ください。

提供:株式会社TKC(2023年7月)

(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。 

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