Q 低濃度PCBに汚染されている可能性のあるコンデンサーを保管しています。廃棄物として適正に処理するための助成金制度について詳しく教えてください。(電気工事業)
<回答者>公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団 技術部長 川瀬 豊
A ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、環境と健康に対する深刻な有害性が明らかになるにつれ、1970年代後半から80年代にかけて多くの国で製造と使用が規制されることになりました。国際条約においては89年のバーゼル条約採択で越境移動と処分が規制され、2001年のストックホルム条約締結で残留性有機汚染物質(POPs)の使用、排出が制限されています。
日本でも、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)が01年7月に施行され、PCB廃棄物の識別、収集、運搬、処理、処理後の管理に関する詳細な規定が設けられました。またPCB廃棄物の安全かつ効率的な処理の促進を目的としてPCB廃棄物処理基金が設立され、これを活用した助成金制度が導入されています。
さらに環境省は24年12月10日、独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)に関する省令(環境省令第31号)の一部を改正し、PCB廃棄物処理基金による支援を低濃度PCB廃棄物処理にも拡大しました。低濃度PCB廃棄物とは、PCB含有濃度が0.5(㎎/㎏)超から5,000 (㎎/㎏) 以下(ただし可燃性PCB汚染物は10%以下)の廃棄物を指します。低濃度PCB廃棄物の発生は、変圧器やコンデンサー等の電気機器類の製造過程や、それに用いられる絶縁油の製造過程、流通過程において意図せずにPCBが混入するコンタミネーションによる汚染が主な要因と推測されています。この低濃度PCB廃棄物の処理については、PCB特措法で27年3月31日の期限が設定されています。

コンデンサー等の電気機器が助成の対象となる
低濃度PCB廃棄物の処理は、①廃棄物の識別と分類②低濃度PCB廃棄物の処理の二つのプロセスを行うための費用がかかります。中小企業者等への支援の必要性があることから、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団は25年度から、PCB廃棄物処理基金に基づきERCAから交付される助成金を活用し、中小企業者等に対し低濃度PCB廃棄物の収集運搬、処分等の費用の一部(分析費、処理費で2分の1の補助率)を助成する業務を行っています。
助成の対象となる廃棄物は、国内で所有している低濃度PCBに汚染されているおそれのある電気機器類、低濃度PCBに汚染されている絶縁油、低濃度PCBに汚染されている絶縁油が封入された変圧器、コンデンサー等の電気機器、ドラム缶やペール缶に封入された低濃度PCB汚染物など。助成金の申請は、処理を実施する前に、所定の申請書に必要事項を記載の上、その他必要書類と共に、産廃振興財団のホームページからアップロードして手続きを行います。対象となる企業の要件や助成限度額など詳細については欄外の2次元コードを参照ください。
低濃度PCB廃棄物を保管したままの企業は、期限に定められている27年3月末までの活用を強くおすすめします。
提供:株式会社TKC(2026年2月)
(注) 当Q&Aの掲載内容は、個別の質問に対する回答であり、株式会社TKCは当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。